2016年01月03日
その五、島時間を内地へ届けるには?
その晩、琴音は考えました。
自分を癒してくれた小次郎氏やおばたち。一緒にすごした時間、シマ時間をどうにか形にできないだろうか???
そんなことをぐるぐるぐるぐる。
思いを巡らせ、おばたちとの時間を思い出してみると……


あ、さた豆おいしかったなぁ。
くび木のお茶もほっこりしたなぁ。
あのコースターも可愛かったなぁ。
楽しいゆらいの時間にいただいた、食べ物や飲み物が浮かび上がりました。
くび木を煎じてお茶にする時間。
豆と黒糖を熱してさた豆を作る時間。
そんなちょっぴり手間のかかる“体験”や“時間”をプレゼントするのはどうだろう?
ふと、そんなことを思い立ったのです。
忙しい生活の中で、ほんの少し面倒な作業をしながら島のものを作ってもらえば、ほっこりした時間を感じてもらえるんじゃないかな?
……かくして、「あまみのシマ時間キット」計画がスタートしたのです。
※この物語はほぼノンフィクションです。ところどころ、大人の事情が挟まれていますがご了承ください。
フリーランスのライター・編集者。
取材・記事作成・編集の他にも企画・構成・LP作成などWEBや紙媒体で仕事しています。
泥ぬマコ運営ブログ→泥ろぐ http://doronumako.com/
自分を癒してくれた小次郎氏やおばたち。一緒にすごした時間、シマ時間をどうにか形にできないだろうか???
そんなことをぐるぐるぐるぐる。
思いを巡らせ、おばたちとの時間を思い出してみると……


あ、さた豆おいしかったなぁ。
くび木のお茶もほっこりしたなぁ。
あのコースターも可愛かったなぁ。
楽しいゆらいの時間にいただいた、食べ物や飲み物が浮かび上がりました。
くび木を煎じてお茶にする時間。
豆と黒糖を熱してさた豆を作る時間。
そんなちょっぴり手間のかかる“体験”や“時間”をプレゼントするのはどうだろう?
ふと、そんなことを思い立ったのです。
忙しい生活の中で、ほんの少し面倒な作業をしながら島のものを作ってもらえば、ほっこりした時間を感じてもらえるんじゃないかな?
……かくして、「あまみのシマ時間キット」計画がスタートしたのです。
次回、「その六、山へ潜入!くび木採り名人・泉さん」に続く >>>
※この物語はほぼノンフィクションです。ところどころ、大人の事情が挟まれていますがご了承ください。
ライター:泥ぬ マコ(どろぬ・まこ)

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2016年01月02日
その四、シマ恒例、無限に出てくる『お土産』
すっかり元の笑顔を取り戻した琴音。外も暗くなってきたし、そろそろ帰ることに。

「じゃあこれ持っていかんば」
誰からともなく、おばたちは残った料理を次々とビニール袋に入れ始めます。そう、残ったごちそうはお土産として持たせてくれるのです。
「冷蔵庫に○○もあるよー」
「冷凍もんでよければ△△持たせようかい?」
冷蔵庫や冷凍庫にしまってあるものまで取り出して、軽く2~3食分くらいの食料を手渡してくれました。
「あとは何があったかい?」
「もう大丈夫よー。こんなにたくさんありがとう!」

「どうもありがとうーーーーーーー!また来るねーー」
嬉しさのあまり、踊る琴音。

琴音たちが見えなくなるまで、いつまでもいつまでも手を振って見送るおばたち。
失恋の傷がすっかり癒えたわけではないけれど、心の中にあったかい思いが満ちていました。
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「じゃあこれ持っていかんば」
誰からともなく、おばたちは残った料理を次々とビニール袋に入れ始めます。そう、残ったごちそうはお土産として持たせてくれるのです。
「冷蔵庫に○○もあるよー」
「冷凍もんでよければ△△持たせようかい?」
冷蔵庫や冷凍庫にしまってあるものまで取り出して、軽く2~3食分くらいの食料を手渡してくれました。
「あとは何があったかい?」
「もう大丈夫よー。こんなにたくさんありがとう!」

「どうもありがとうーーーーーーー!また来るねーー」
嬉しさのあまり、踊る琴音。

琴音たちが見えなくなるまで、いつまでもいつまでも手を振って見送るおばたち。
失恋の傷がすっかり癒えたわけではないけれど、心の中にあったかい思いが満ちていました。
次回、「その五、島時間を内地へ届けるには?」に続く >>>
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2016年01月02日
その三、照れながら…世代を超えての恋愛談義
照れながら…世代を超えての恋愛談義
「実は私、失恋しちゃったんですよ。」


「はげ、失恋したっち?大丈夫よー」
優しくなぐさめてくれるおばたちに、琴音は聞いてみました。
「おばたちの若いころは、どんな恋愛をしてたの?」
「はげ、恋愛話なんち恥ずかしいやー」

頬を染めるおばたち。
「私なんかの頃は、選べんかったよー」
「でもやっぱり、嫌だと思わず気に入ったから結婚したよ私は」
「いやいや、それでも親に言われたら口答えなんちできんよー」
照れながらも、昔の様子を語ってくれました。
恋愛談義に花が咲いてきた!と思ったのも束の間、
「それにしてもあんたは子供のころは痩せてたのに肥えたねー」
「わたしなんか、あんたがこーんな小さいときから見てるけど……」
と、危機感の足りない小次郎氏の体型を案ずるおばたち。
同じ集落、同じような顔ぶれで、昔話などをかたりながらいつでも大盛り上がり。
集落の人やできごとに関しては、誰もがみんな全部を知っています。そして子供は、集落みんなで育てている、みんなの宝という思いであたたかく見守られているんです。
※この物語はほぼノンフィクションです。ところどころ、大人の事情が挟まれていますがご了承ください。
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「実は私、失恋しちゃったんですよ。」


「はげ、失恋したっち?大丈夫よー」
優しくなぐさめてくれるおばたちに、琴音は聞いてみました。
「おばたちの若いころは、どんな恋愛をしてたの?」
「はげ、恋愛話なんち恥ずかしいやー」

頬を染めるおばたち。
「私なんかの頃は、選べんかったよー」
「でもやっぱり、嫌だと思わず気に入ったから結婚したよ私は」
「いやいや、それでも親に言われたら口答えなんちできんよー」
照れながらも、昔の様子を語ってくれました。
恋愛談義に花が咲いてきた!と思ったのも束の間、
「それにしてもあんたは子供のころは痩せてたのに肥えたねー」
「わたしなんか、あんたがこーんな小さいときから見てるけど……」
と、危機感の足りない小次郎氏の体型を案ずるおばたち。
同じ集落、同じような顔ぶれで、昔話などをかたりながらいつでも大盛り上がり。
集落の人やできごとに関しては、誰もがみんな全部を知っています。そして子供は、集落みんなで育てている、みんなの宝という思いであたたかく見守られているんです。
次回、「その四、シマ恒例、無限に出てくる『お土産』」に続く >>>
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2016年01月02日
その二、おばの家で“ゆらい”のひと時

小次郎さん「ここが、わん(私)のおばの家じゃやー」

扉をあけると……
「どーぞどーぞ入って―」
「いもーれー(いらっしゃい)」
「はよ入らんばー」
「ほれみしょれみしょれ(食べて食べて)」
琴音たちは歓迎ムードで迎えられました。

ツタ子おば
マツ子おば
サヨおば
りえ子姉
とびきりの笑顔と気さくな雰囲気。
肩の力がぬけるような、あたたかい空気に包まれています。
そして、ところ狭しと並べられた島料理(しまじゅうり)の数々!


どれを食べてもおいしい!
思わず夢中で頬張る琴音。


「おいひいいいいっ!」


「しみるぅー」


食べては語り、飲み、笑い、食べる!
ほっぺたの落ちそうなごちそうと、おばたちのおしゃべりに囲まれて、自然に笑みがこぼれます。
会話の端々で登場する「ゆらい」「ゆらう」という言葉。これは、ゆったりする・のんびりおしゃべりする、という意味の言葉です。
「何もないけど、ゆらっていってー」
それが当たり前の光景なんですね。
毎日のように集まっては昔話に花が咲き、
「○○んとこの娘がどうした」だの、「△△んとこの息子が帰ってきた」だの、お話は尽きません。
始めておばたちに会った琴音、苗字だけで出身の地域を当てられてびっくりです。
「そこの集落なら○○ってのがいるだろ」
と、必ず共通の名前が出てくるまでは、話を終えられないのも、島ならではの暗黙のルールです。
次回、「その三、照れながら…世代を超えての恋愛談義」に続く >>>
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2016年01月01日
その一、26歳、失恋。彼女を待ち受けていたもの

バニラエア就航の影響もあり、訪れる人が増えつつある奄美大島。
そんな奄美大島には、どうやら「シマ時間」というものが流れているらしいのです。
なにごとも時間通りに進まない?
ゆっくりのんびり?
あたたかくて、ゆるゆると時が流れる?
日本の南国、奄美大島のシマ時間とは一体なんでしょう。
みなさんも一緒に探してみませんか。
26歳、失恋。彼女を待ち受けていたもの
2015年12月。しーま事務所の元気印、スマイル琴音から笑顔が消えてしまいました。

ただぼんやりと海を眺めます。
どんより曇り空と波の静かに寄せる音が、ざわついた胸の内に染み入るよう。

ひとり心を落ち着けている琴音の背後に、なにやら怪しい人影があります。
たまたま海辺を通りかったしーまブログ事務所の代表、深田小次郎氏です。

「おやっ!?」
ぽつんと浜に丸まっている琴音を発見。いつもの元気オーラが消え失せた様子が気になり、声をかけました。

「あ、代表……」
そこで琴音は、失恋した事実を打ち明けました。(実話)

「そっかぁー」

「どんまい」
「……」
「……」

「ほほほい!」

「ほほほほほーーーい!」
おどけた行動で、なんとかなぐさめようと必死。

「…………」
琴音は、ますます顔が曇ってしまいました。
「よし、今からわんのおばの家に行こう!」

それは突然のお誘いでした。会ったこともないおばの家に行ってもいいの?
琴音は一瞬迷ったものの、とにかく小次郎氏に付いていくことにしたのです。

次回、「その二、おばの家で“ゆらい”のひと時」に続く >>>
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